当事者の証言に頼らず、車両・ガードレール・路面等に印象されている一つ一つのキズが、いつ・どこで・何により・どのようにして生成されたかを調査し、車に残された痕跡から衝突角度および制動の有無やハンドル操作の適否を分析し、「停止」位置から「衝突」地点へと遡り、事故の全体像を客観的に再現する手法です。
事故とは、
「危険への接近にともない初めてその対応が求められる状態から出発し、回避不能地点を不適当な状態で通過する時期を頂点とし、以降は人為的要素の介入の余地がない純粋に物理現象としての衝突を形態的頂点とし、余動停止するまでの一連のドラマである。」
ー 故 駒澤幹也 著「自動車事故調査技術入門」より ー
危険を感じた時、運転者が行える回避行為は「ハンドルを切る事」と「ブレーキを踏む事」の二つしかありません。そのため、危険を察知した後の回避処置の適否が過失(責任)割合に大きく影響します。
現在、多くの鑑定人は無人の自動車による衝突実験の結果から得られた実験式や物理の法則から導かれた公式で交通事故を鑑定しています。
しかし、この手法では双方の衝突速度を求める事は出来ても、回避処置の有無やその適否まで解明する事は出来ません。